神谷浩史・DGS・その他声優中心☆
絶望先生やホリック等も取扱い★(すきな声優のアニメばっか
ぽんぴん=ビードロ ガラスのおもちゃですよ●^艸^●
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ざわっ
ちりんっ
そんな音では表現できない
強くて でも弱くて不思議な風。
そのせいで揺れたのか
風鈴のようで鈴のような高い音。
紗耶香は鉄塔の上から
住宅街を見下ろしていた。
灰色、銀色、狼のような色とでも表現しようか
白髪とは違う髪をかすかになびかせて
ゆっくりと開いた瞳は
右が朱で
左は碧のオッドアイ
赤、青とは違うその色は陶磁器のような肌と淡い水色のワンピースの上でひときわ目立っていた
いや、16才ほどの少女が鉄塔の上で足をぶらつかせているほうが
よっぽど目立つのだが…
「紗耶香ー」
「…………」
「紗耶香ーー」
「………」
「紗耶香っ!!!」
「…ぇ?」
「全く紗耶香はいつも鈍いんだからっ!」
「あーゴメンゴメンぼぉっとしてた…」
隣でぶんすかしている13くらいの少年はゆぅ君。
黒いサラサラの髪を無造作にゴムで一本にまとめて
光の宿る大きな瞳は銀色と紫色。
紗耶香と同じく陶磁器のような肌のゆぅ君はまさに典型的な女顔だ。
「ねぇゆぅ君?あれから何年たったの?」
「なんだょいきなり?
僕ももぅ覚えてなぃよ。君の方が年下だろ?
」
この時期。夏の終わり。紗耶香は死んだ。
理由はわからない。
長いのか短いのか
記憶がなくなったのか
ただ忘れてるのか。
紗耶香は自分が死んだ理由を全く覚えてないのだ。
ゆぅ君もそれは同じ。
二人は記憶がなんにもない。
それどころか紗耶香はある時期が終わるといつも姿を消して
来年の同じ時期に現れては記憶を失っている
ある時期
それは夏の終わり。
秋と夏の狭間。
秋に入ると紗耶香はふぃに消えてしまうのだ
ゆぅ君は紗耶香とは違って記憶はあるし毎日この町にいる。
とくになにをなくいつもぶらぶらと町を歩いてすごしてる。
特別な力もないし存在は期間限定の幽霊のようなもの
いつだったか、ゆぅ君と紗耶香はこのもやもやしたよくわからない存在を説明するために
僕たちはずっと昔に死んでいて幽霊にもなれずにさまよううちにこんなになったのだと話し合った。
「今年も会えてよかったね」
「なんだょ紗耶香は記憶がないだろ」
「んーでもなんとなく会ったことがある気がするの」
「でも来年は違う気がするの、なんか特別なことがおきて二人とももとの世界に帰れるみたいな」
「お前それ毎年言ってる」
「ぇへへー」
「ったく…」
小さくため息をついてから
「来年もちゃんと来いよ」
「うんっ」
そうやって別れたのが去年。
今年はホントになにかがおかしい。
だって紗耶香が
紗耶香が
唯一覚えていたこと。
俺の名前を忘れていた。
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